2011年6月30日木曜日

たんじょうび

たんじょうび                     ハンス・フィッシャー作

リゼッテおばあさんは、たくさんの動物たちと森のそばの野原に住んでいます。

今日は、リゼッテおばあさんの誕生日。

動物たちはおばあさんのいない間に、誕生日の準備を始めます。

のびやかなお話の中に、おばあさんの動物への愛情、動物たちのおばあさんへの愛情があふれています。

最後におはなしは「こねこのピッチ」へとつながっていきます。

アンガスとあひる

アンガスとあひる                    マージョリー・フラック作

知りたがり屋のスコッチテリアのアンガスのお話です。

アンガスは何でも知りたがりました。なかでも一番知りたがったのは、庭の生け垣の向こうから聞こえてくる音の正体でした。

ある日、生け垣の向こう側に出るチャンスが訪れます。

すると、目の前にいたのは・・・あひるでした。


好奇心旺盛なアンガスの様子がユーモアたっぷりに描かれています。

おかしくも愛らしいアンガスのシリーズとして「アンガスとねこ」、「まいごのアンガス」もありますので、そちらもぜひ読んでみてください。

2011年6月21日火曜日

時の旅人

時の旅人                             アリソン・アトリー作

療養のため母の田舎の古い農場にやってきた、少女ペネロピーが主人公です。

ふとしたことから、16世紀のサッカーズに迷い込み、歴史上の事件に巻き込まれていきます。

過去と未来の”今”の時を生き、現実に自分の周りにいる人たち以上に、16世紀にいる人たちが実在の人のように思えてきます。

そして、16世紀にいる自分を本当にいるべき場所にいるのではと思いながら、16世紀と20世紀を行き来します。

どんなに想ってもあらがうことのできない歴史の事実に心を痛めながら、時を旅する冒険の物語です。

決してハッピーエンドではなく、せつなさが残る最後ですが、美しく心にしみてくるファンタジーです。

はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー

はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー              バージニア・リー・バートン作

除雪車けいてぃーのお話です。けいてぃーはじぇおぽりすという町で働いています。

大雪が降りじぇおぽりすの町がすっぽり雪でおおわれた時、けいてぃーの仕事が始まります。

子どもたちはけいてぃーになりきり、南じぇおぽりす、北じぇおぽりす・・・と働くのでしょう。

子どもたちはじぇおぽりすの町の地図のところも大好きで、毎回読んでほしいと言います。

今回、この本を読み返してみて、私がけいてぃーが好きな理由は、けいてぃーが自分の仕事に誇りと責任をもっているからだと気付きました。

これは私が大人になり、仕事をするようになったからこそ感じることなんだと思います。

かしこいビル

かしこいビル                    ウィリアム・ニコルソン作

メリーはおばさんの家へ遊びに行くことになり、荷物をトランクにつめ始めますが、時間がなくなりめちゃくちゃに押し込んでしまいます。

そうしたら、なんと! なんと!!

兵隊の人形のビルを入れ忘れたのです。

ビルは走ってメリーを追いかけます。

お話はわかりやすく単純なようですが、心の奥深いところにじんわりと語りかけてくれる絵本です。

子どもはメリーに感情移入したり、ビルに感情移入したりして楽しむのだと思います。

2011年6月19日日曜日

ふわふわしっぽと小さな金のくつ

ふわふわしっぽと小さな金のくつ            デュ・ボウズ・ヘイワード作

イースターバニーのお話です。

本当はイースターの季節に紹介しようと思っていましたが、気付いた時にはイースターは過ぎてしまっていました。
日本人にはイースターは馴染みのない行事なので、季節に関係なく紹介しようと思います。

イースターバニーには心が優しく、足が速く、とても賢いうさぎにしかなれません。

ふわふわしっぽは子どもの頃イースターバニーに憧れていましたが、今は21匹の子どものお母さんになっています。

しかし、今年のイースターバニーに選ばれて。

しっかりと地に足をつけて、素朴に生きているふわふわしっぽだからでしょうか、物語から温かくも凛としたものを感じます。

勇気と愛情にあふれているお話です。

ちいさな ちいさな えほんばこ

ちいさな ちいさな えほんばこ                    モーリス・センダック作

「ジョニーのかぞえうた」、「チキンスープ・ライスいり」、「アメリカワニです、こんにちは」、「ピエールとライオン」の4冊からなるちいさな絵本箱です。

私が一番好きなのは、「チキンスープ・ライスいり」です。

「JANUARYは1月」で始まる文章は、12か月それぞれの特徴が描かれています。

それでも、どんな月でも、どんな時でも合うのはチキンスープ・ライスいり。

次にくる文章がわかっていても、ついつい「チキンスープ・ライスいり」と口ずさんでしまう楽しさがあります。

チキンスープ・ライスいりがものすごくおいしい食べ物に思えます。

2011年6月16日木曜日

グレー・ラビットとヘアとスキレル スケートにいく

グレー・ラビットとヘアとスキレル スケートにいく           アリスン・アトリー作

灰色うさぎのグレー・ラビットと大うさぎのヘアとりすのスキレルは森のはずれの小さな家に一緒に暮らしています。

物語には3匹の他に、はりねずみのヘッジやフクロウ博士、もぐらのモールディなどが加わり、森のつつましくも満ち足りた生活が描かれています。

お話の前に「みなさんは、もちろん、知っていらっしゃるとおもいますが、はいいろうさぎのグレー・ラビットの家には、電気もガスもありません。」という文で始まる前がきがあり、お話の世界のイメージをふくらませてくれます。
私は毎回読んでもらっていましたし、ぜひ毎回読んでほしいと思います。


本当にそのような生活があるのではないかと思える、豊かな香りにつつまれ、満足感の得られるお話です。


訳が少しかわっており、私が読んだのは前の訳の本でしたので、上の文も前の訳のまま載せます。

はなのすきなうし

はなのすきなうし                       マンロー・リーフ作

数年前にサンドラ・ブロックがアカデミー賞を受賞した「しあわせの隠れ場所」という映画の中で、この「はなのすきなうし」が物語の重要なキーとして登場します。
映画を見て、あらためてこの本を読みなおしてみました。

フェルジナンドは他の牛とちがって、牧場のコルクの木の下で一日中、花の匂いをかいでいるのが大好きな牛です。

しかしある日、牛買いの男たちが闘牛に出す牛を買いに来ます。


それぞれに個性があるからこそ素晴らしい、他とは違ってもいいじゃないか、自分の気持ちに忠実に生きてもいいじゃないか、そんな気持ちになれる本です。

2011年6月7日火曜日

まぼろしの白馬

まぼろしの白馬                    エルザベス・グージ作

両親を亡くしたマリアは家庭教師のヘリオトロープ先生とスパニエル犬のウィキンズと共に、遠いいとこのベンジャミン卿の古い屋敷を訪れます。

そこでマリアは先祖にまつわる伝説を知り、冒険が始まります。

マリアの気高く、勇敢な心が、止まっていた時を動かし始め、人々の凍っていた心を溶かし始めます。

マリアに厳しくも温かい愛情で接する、ヘリオトロープ先生が素敵です。

ラチとらいおん

ラチとらいおん                       マレーク・ベロニカ作

子供に勇気を与えてくれる絵本です。

世界中で一番の弱虫のラチという男の子が主人公です。

ある日、ラチはらいおんの絵を見て「僕にもこんならいおんがいたら怖くないんだけどなあ」と思います。
すると次の日の朝、ラチのもとにちいさな赤いらいおんが現れます。
「こんなちっぽけならいおんじゃ、何の役にも立たない」と言いますが、らいおんのもとで強くなる訓練が始まります。

子供の姿をのびやかにとらえ、勇気と元気を与えてくれる絵本です。

きみなんか だいきらいさ

きみなんか だいきらいさ           ジャニス・メイ・ユードリー作   モーリス・センダック絵

「ジュームズ」と「ぼく」は仲良しです。どんな時も一緒だったし、みずぼうそうにも一緒にかかるほど大親友でした。

でも きょうは ちがう。

時には、我慢できないくらい気に入らない時もある。


「きみなんかだいきらいさ」


「ぼく」は「ジェームズ」にそう伝えにいきます。

しかし・・・


子供の心をユーモラスにあたたかくまっすぐに描いている絵本です。

お知らせ

先日紹介した「ふたりの世界」シリーズも現在、絶版で手に入りません。

図書館などで探してみてください。 すみません。

2011年6月4日土曜日

すばらしいとき

すばらしいとき                     ロバート・マックロスキー作

詩のような語りで嵐の前後の様子が淡々と語られます。

自然の美しさ、不思議さ、素晴らしさ、偉大さを感じれる本です。


サリーが出てくるお話として「サリーのこけももつみ」、それからサリーが少し大きくなり、妹のジェインも登場する「海べのあさ」もあります。

「サリーのこけももつみ」、「海べのあさ」がどちらかというと、テンポよく物語が進んでいく動画のような物語だとすると、「すばらしいとき」は一場面、一場面の美しさを静かに感じ取る、静止画のような物語だと思います。

私は、子供のころは「海べのあさ」が好きでしたが、大人になったからか、今は「すばらしいとき」が一番好きです。

ふたりの世界

ふたりの世界                       ジョアン・リンガード作

ふたりの世界シリーズです。「ベルファストの発端」「バリケードの恋愛」「ロンドンの生活」「チェシャーの農園」「ウェールズの家族」の5冊です。

今年の5月にイギリスのエリザベス女王が100年ぶりにアイルランドを公式訪問したことが話題となりました。
北アイルランド問題は宗教だけの問題ではありませんが、無宗教の日本人にとって知らない人も多いと思います。

この物語の中で、なぜカトリックの人はプロテスタントのお祭りの太鼓の音を嫌うのか、なぜプロテスタントの子供たちはカトリックの壁に落書きをするのに、オレンジ色のペンキを選んだのか。

私は、この本を読むまで全く知りませんでしたが、どんどん物語に引き込まれていきます。

物語はまさに北アイルランドのベルファストで始まります。
通りをはさんで大人も子供もいがみあって生活をしていた時代に、プロテスタントの少女セイディーとカトリックの少年ケヴィンは出逢い、恋愛が始まります。

2人をとりまく人々も、2人を理解できず拒絶する人、理解し力になろうとする人、理解したいと思っていても、今までの慣習から抜け出せない人など様々です。

私は、特にケヴィンの弟ジェラルドとセイディーのかかわりが好きです。

お知らせ

以前に紹介した詩集の「孔雀のパイ」は現在、絶版で手に入らないそうです。

とても美しい詩ばかりなので、ぜひ一度は読んでほしいのですが残念です。

興味のある方は、図書館なので探してみてください。